3Q38日目

11/7(土) 晴れ

11時前には起きていた気がする。昨日残してた推進定理の証明を考える。結局正規拡大であることを使うために相対的代数閉包を取りその上の同型射に落とし込めば出来た。分離拡大についても射の個数のほうの定義で証明できたので終わり。スッキリした。

午後はハーツホーンのゼミ。今回からもう一つの方と合流して人数が増えてにぎやかになった。non-singularの判定とかが楽にできるような方法が色々あった。ゼミのあとの雑談で聞いた反例構成がとても面白かったのでここに書く。見つけたかったのは次の対象。

零環ではない環 A であって任意の局所化が正則局所環かつ連結(零環ではない環の直積では書けない)かつ整域ではないもの。

ちなみに任意の局所環が条件Pを満たすことをpointwise Pと言うらしい。例えばregular schemeはpointwise integralとなる。他に環がirreducibleであるというのが極小素イデアルがただ一つとしてpointwise irreducibleとかがある。あとlocally Pとかは近傍でPを満たすものが取れるとか。

affine schemeで考えると、もし A ネーター環だと X = \mathrm{Spec}(A) はnoetherian schemeであって既約成分が局所有限であることと任意の局所環が正則局所環、つまりとくに整域になることからGoertzの演習問題より X は既約成分のdisjoint unionになるしとくに今 X は連結だから X 自身が既約になる。局所環が整域からとくにreducedより X はintegralになってしまう。よってとくに A はnon-noetherianであることが必要になる。 A がregularという仮定だと A にネーター性を課すことがとても多いからその場合は上のことによってそのような環は存在しないことになる。

ここで、 A がネーターではない場合の例を考えていた。ただこのとき正則局所環がネーター環にしか定義されていないから局所環がすべてネーター環なのに全体はネーター環ではない例が必要になる。まずGoertsの演習問題にあったRabinoffという人が作った局所化がネーターだけど全体はネーターではない例で行けないかと思ったけどそもそも局所環が整域ではなくなっていたので駄目だった。それ以外で探していたら次のやつを見つけた。

arxiv.org

既約性とか整域性とかをすごい詳しく証明している。これによると求める環は既約成分が局所有限ではないことが必要になってくる。とか言って探そうとしていたらこれにnon-integralかつ任意の局所環が整域かつ連結であるような例が載っていた。整域だったら正則局所環くらいになってくれるだろうという考えのもとその例を追っていたら実際そうだった。最後の最後でよくわからない結果が書いてあったけどこれについては一緒に考えてもらったほうが良さそうということで放棄した。実際局所化がDVRになるという強い結果まで言える。つまり局所環がDVRなのにDedekind整域ではない例も手に入れたし局所環がnon-integralなのに整域ではない例も手に入った。任意の局所環がDVRではないけど。しかも上で言ってたことよりネーター環になりえない。

一番非自明そうな標語としては

連結かつ局所環がDVRまたは体だがintegralではないかつネーターではない環が存在する。

ということになる。

わからないと言っていた局所環のところだけど有限和を丁寧に簡略化していけば出来た。分母にきた元も一部は商の定義から消せて、他のところは最小元とか最大元でくくれば大丈夫だった。こういう反例構成とても面白い。自分で見つけたわけじゃなく与えられたものを追っただけだけど。せっかくなので何らかにまとめようかと思ったけど普通に書くのめんどくさそう。いつの間にか1時を過ぎていたので終わり。