修士一年夏休み27日目

9/5 (月) 曇り

7時前に起きた。なんかここ数日は8月が嘘だったかのように涼しい日が続いている。とても助かる。まあ、日中のそれは冷房をつけてるからかもしれないけど。意外と無気力になるなんてことは起きてない。葬儀の後にそうなる可能性があるかもしれないけど、喪失感があるかもしれないけど、そんなこととは関係なくしっかりと想っておけば大丈夫なはず。難しく考えすぎず、昨日出かけたときの感覚みたいに、いつでも近くにいるという気持ちを持てれば大丈夫。

親がいつも新聞紙をトイレの下に敷く用に分解して保管するのが癖になってたらしく無意識のうちにやってた。保冷剤はもう間に合わなくなったけどドライアイスが間に合いそうなので良かった。いつも氷を作ってあげていた冷蔵庫が最後に頑張ってここまで保冷剤を作ってくれたのだと思う。あとは任せてほしい。ほらやっぱり、3日くらいみんなでやれば余裕だ。

昨日は毛を少しもらったけどどうも肉球のスタンプを取っておくとかあるらしく、やりたい気持ちがある。色紙的なのを用意しないといけない。日中は一人になってしまって出かけられないから誰かに頼もうか。とりあえずドライアイスが来るのを待ってから他のことを考える。

ドライアイスが来た。24時間で5kgくらいで十分らしい。20cm×5cmくらいのドライアイスの塊を初めて見た。こういうのを売っている場所が家の近くにあって本当に助かった。初めてドライアイスをみてびっくりしてしまっているかもしれない。冷気が逃げないようにタオルで全面を覆うんだけどそうすると顔が見えなくなってしまって少し悲しい。こうやって少しづつ自分達の視界から見えなくなっていってしまうのか。一気にではなく。少しなら開けてもよさそうだけど。とりあえずその隣で午後の準備を終わらせておく。

ちょっと数学してた。進捗報告会用に少し準備をしたり、condensed mathのところの他の文献を読み進めたり。土日は家に家族が居たから気づかなかったけどすごい家の中が静かに感じる。やっぱり足音とか息の音とか鳴き声とかちゃんとあったんだなって感じ。よく玄関の方に居てリビングの近くの自分の机からでは別に音がたくさん聞こえるわけでもなかったのに、そのときに比べて明らかに音が静か。カチャカチャ鳴ってた爪とフローリングの音もない。冷房をかけている影響もあるんだけどなにか熱源がなくなってしまったように家の中が静まってる。実際熱源が一つなくなってしまったんだけど。これが一番しんどいかもしれない。16時ごろにいつもご飯の要求をしていた鳴き声も気にすることが無くなると思うととても悲しい。少なからず進捗報告会への緊張が入ってる影響もあるんだろうけど動悸が少しする。

ゲームをしてるときとかなんか物音がしたと思って大丈夫かなと思って振り返るんだけどその大丈夫かなと思う対象がもう居なくてただの勘違いだった。とりあえず報告会を終わらせてくる。バイトがあるから全部居れるかわからないけど。報告会の前に日記を書いてるけど朝に前半を書いてたことを完全に忘れてた。こういう現象があるだけで日記を書くことの意義があると思える。

この静けさになんか心当たりがあると思ったけど、毎年お盆と年末年始に行く実家的なところと同じだった。つまりは犬を連れて行くけど家のように放し飼いできないから少し離れたところにハウスに入れているせいでリビングまでその音が全く届かない現象と同じことが起きている。あの静かな感じがある。みんな出かけてしまった一人だけの昼下がり的な。今までそこにはいつも居たのに。

この一週間ずっと一緒にいたからか、前までは気兼ねなく一人でお留守番させながら大学とかに出かけていたけど今はなんかそれに抵抗がある。まあまだあるからかもしれないけど明後日以降もそういう感覚のままだという予測できる。一緒についてきてくれてるかもしれないけど、それでも。

報告会が終わって自分はあとちょっとしたらバイトに行く。小腹がすいておやつを食べようとしたけどおやつを開けたときに寄ってくるのを思い出した。なんかあんまり食べる気にならなかった。報告会が無事に終わっても変な緊張は解けてないからもしかしたら明日のことがもう胸にへばりついているのかもしれない。ドライアイスで冷やすためにタオルを全面にかけて見えないからかもしれない。でもこれからは見えなくなってしまうとなると寂しい。家に一人でこうしてると思い出していられるけどやっぱり少し寂しい。でも逆に家から積極的に出過ぎて忘れてしまう方が怖いから一ヶ月前と同じくらいの感じの頻度で出かけることになるんだろうか。上で逆に出かけたくなくなるとか書いてたのにもうふわふわしてる気もするけど。手持ち無沙汰になったり数学が行き詰まったときにちょっかいを出すこともできなくなった。代わりにそうだった景色を思い出す。

バイトから帰ってきてからご飯を食べてそのあとゆっくりしてたらいつの間にか寝てしまった。明日に備えて早く寝ようとしてたら逆に早く寝落ちしてしまってお風呂もまだ入れていない。あと日記も書いてた分が下書き保存して無くて少し飛んでしまったかもしれない。1時を過ぎてしまったけど今から急いでお風呂に入って寝ようと思う。

明日はついに最期になってしまう。やっぱりさみしいけど、ちゃんと送ろうと思う。早くお風呂に入ってくる。ちょっとしたときにちょっかいかけにいくのは今もまだできるからしてしまう。だから明日の夜以降はまた今日までとは違う種類の喪失感が出てきてしまうかもしれない。もう頭を撫でたときの感触も味わえなくなってしまう。絶対に忘れないようにする。毛がサラサラしていつつ少し小さな毛の房の凹凸感があってそこはツルツルもしていて、手のひらの内側にすっぽりと入ってしまうくらいの大きさのおでこから頭にかけてのラインを、少し丸く折り曲げた手のひらで撫でるときのあの感覚。指側というよりは手のひらの側でなでたり、指を折り曲げて猫の手のようにして、第二関節あたりで指を曲げた方向と同じ方向にして人差し指と薬指の間でおでこをなでたり。こっちのほうが気持ちよさそうだったと思う。あとは目と目の間から鼻の頭にかけてのところを指で撫でてると目を少しつぶってそのまま寝そうになってた。

あとは首元の毛のところを両手でワシャワシャして少し首を揺らしたり、頭をこちらの頭の横まで持ってきて肩にのせて首元にこちらの顔を押し付けたり。寝る直前に書いてるんだけど沢山出てくるから全然寝にいけない。

頭を近づけると何故か頭頂部の方の匂いを嗅いでから鼻から頭にかけてをこちらの頭に擦りつけてきてた。体のバランスが崩れて前のめりになるくらい擦りつけてきてた。あれは結局なんだったんだろう。擦りつけたあとはいつもクシャミをしてた。

明日もこんな調子で少しづつ日記に記録しておこうと思う。一度公開してからそこそこ書き加えてしまってるけどそれもまたよし。明日を悔いの無いように過ごす。