修士一年夏休み25日目

9/3 (土) 雨

大半を書いてからここを書いている。もしかしたら人によったらショッキングな内容が書いてしまっているかもしれないのでもし何かの間違いでこれを読もうと思っている人が居たら気をつけてほしい。まあ自分の個人的な日記だし、そもそも記録がメインだから容赦してほしい。

8時に起きた。昨日の夜から数時間おきに吐くのが止まらなくなってしまっているのを掃除とかしてたら微妙な睡眠時間になった。もう吐かれるものも無いからか黒っぽいものが出てくる。なんでそこそこの量が出てくるのか謎すぎる。日中ことはスマホで書いている。

起きてからも一回吐いてしまった。色々とタオルとか敷いて汚れないようにしている。

机の方に行くとずっと見ていることができないのでグランツーリスモをとなりでやりながら状態を見ていた。もうお昼前にやめちゃったけど。

お昼前になってからは今度は吐くことはなくなったけど息が苦しそうだし口が開いて目も奥の方に少し入り込んでしまった。そのせいか涙みたいなのが溜まっていた。もうそろそろなのかもしれない。このときのことさえも覚えておきたいと思ったから看病をしながらこれを書いている。正直この日記を更新する頃にまだ息があるかもわからない。

可能な限り頭を撫でようと思う。そう言ってる割に日記を書いているのは薄情なのかもしれないけど。

少しの前兆はあったと思うけどそれ以上に一気に状態が変わってしまった。ここ一週間ご飯も食べずによく耐えてくれたと思う。平日の時点でこういう状態になってしまったら家に自分一人だけだったからなにもなすすべがなかったと思う。みんながいる土日まで保ってくれたのだと思いたい。

変に推理小説とかばっかり読んでるから突然死ばかりが触れられる範囲にあったけど本来こういうふうにじわじわと来るものなんだということかもしれない。少しづつできることが減っていって最後に減るものがあるみたいな。こんなの日記に書いても重いだけかもしれない気がしてきた。いつか見返したときにどう思うんだろうか。

まだお昼ごはん前だけどこれからどうなることやら。まだ実感がない。こんなに苦しそうだけど苦しくなかったときのこともちゃんと思い出しておこうと思う。取り敢えず今書くのはここまでにしておく。

悲しいことで埋まりかねない前に少しだけ思い返してみることにする。そもそも自分が小学生の時に来た。最初はやっぱり小型犬を見てたんだけどカッコいいし一緒に遊び甲斐が在るという事でシェルティーになった。黒色なのもかっこよくて珍しいらしいから。お姉ちゃんがいたけどいまはどこで何をしているんだろうか。あのときは今考えてみればすごい小さいダンボールに入ってた気がする。今やその2倍以上である。最初のうちはゲージに飼っていたんだけど最初はたまにリビングだけを歩かせて、そのうちキッチンとかに行けるようになって、玄関までいつのまにか行ってて、いつのまにかゲージはなくなって寝るときにハウスに入るだけになってた。ここ数年はもう完全に家の中で放し飼いだった。寝るときも夏は玄関の冷たいところで、冬は暖かいソファの上だった。最近は足腰が弱ってソファの上に上がれなくなってたけど。

ご飯も普段のご飯は当然良く食べてたしついついご飯のときとかに近くによってくるから小さい欠片をあげていた。バイトから帰ってきたときはいつも撫でてほしそうに寄ってきてその時は自分だけがご飯を別で食べてたからそれまで眠たそうにしていたのに急に元気になった。とくにキャベツとかの野菜への食いつきがすごくて草食系だって言ってた。こういう状態になってからは逆に鳥のささみへの食いつきがいいときがあって肉食になったみたいな話もしてた。

そもそも臆病で昨日はなぜか突然ベランダに出たがっていたけど普段はそんなことしてなかった。たまに冒険に行くかのようにベランダに出て葉っぱを食べに行ってたことはあったけど。散歩に行っても他の犬が近くに来たら目を合わせずこちらの足の影に隠れて見てみぬふりして通り過ぎるし、旅行に行くときに預けたときは帰ってきてから下痢してたし。

年末年始とかでは車に乗せていたけど最初のうちは車酔いしてしまうせいで何回も吐いててハウスに入れても駄目だったけどもうここ数年は普通に乗ってた。吐くこともなく。

自分も含めてうちの家族は引きこもり体質だからそれが移ったのか同じく引きこもり体質だった。散歩は帰り道になったとわかった瞬間に足が早くなってリードを引っ張る力が強くなったし。

思い出そうとするとたくさんありすぎる。家の中でどこに行ったのかわからなくなってたら物陰にいたり、そういえば見てないなと思ったらどうやったのかベットに乗り上がってたり、ベランダに出ていることに気づかなくてまちがえて窓を閉めたら吠えもせずにずっと開くのを待ってたりみたいなのとか。頭をなでてやるのが良かったり首元をわしゃわしゃするのが気持ちよさそうだったり。明け方になると朝ごはんを寄越せと吠えてたり、あれは結局隣の家とかから文句言われなかったけど大丈夫だったんだろうか。演習の授業で発表しようとしたらいつも午後のご飯が16時でそのせいでちょうど授業の時間とかで大変だったり。

こうやって書いてる途中に痙攣が少し起きてきた。すぐに収まるけどとても不安になる。痙攣が断続的に生じるようになってきた。こういう状態になったときから左目に少し白い膜が出ていて、それが少し悪化したのか左の眼球が少し奥に入ってしまった。

 

 

 

その時が来てしまった。上の思い出の最後のところを書いているときに痙攣が止まらなくなってきてそのまま。後で確認してみたら14:00頃だったらしい。痙攣が止まらず、首を右側に引き付けていた。舌が口から出てしまっているのに痙攣で口が勢いよく閉じていたから舌を噛まないか心配で色々と調整してた。少し痙攣が弱まるときがあったもののずっとそうなってしまった。みんなで体を擦ってみたけど。口を少し押して喉のところを擦ってあげたら少し弱まったけど咳のようなものが少し出て、突然体を大きくしならせて口を開けて何か声を発してそのまま逝ってしまった。細く高い声でなにか言っていた。そのために最後に体を動かしてくれたのかもしれない。舌が赤色から急激に灰色になる瞬間が目に焼き付いている。同時に左目の上に白い膜があがった。その後にそれは下がったけどそのまま気絶したように寝てしまった。心臓の鼓動はあるのに目は開いたままで寝てるようになった。肺が動いていることによる体の上下がなくなっていた。一瞬ただ気絶しただけなのかもしれないと思って口に耳を近づけてみたけど何も聞こえなかった。その後鼓動が段々と弱まってしまった。ずっと頭を撫でていた。あと前足を強く握っていた。ここ一週間くらい握手を積極的にしてたので覚えているだろうか。

鼻水が出るほど泣いたのは初めてかもしれない。もしくは前回は覚えてないくらい昔か。心臓のところに頭をつけて暖かさを感じてた。目は開いたままで心臓は拍動しているのに動かないということも含めて頭が全く状況を理解できていなかった。なのに悲しいという感情はあとからちゃんとくる。

13歳と2ヶ月だった。名前はリック。上で書くのを忘れてたけど名付けはその時買った、街へいこうよどうぶつの森の住人のライオンの名前だったはず。なんか突然思い出してなんか似合いそうだったからそうした。今ではそれ以外の名前は考えられない。

 

悲しい。ありがとうと言ったのが伝えられてればいい。見た目にはただ寝てるだけで起きそうなのに体が鼓動によって動いてないせいで頭がバグって状況を認識できていない。一通り掃除をするときも温かいところが少しづつ冷えていっていた。寝たきりで汚くなってしまっていたのでキレイにしてあげた。尿が出ていてどこか冷静にそういう現象が起こるんだということを頭が認識していた。毛並みとかを整えながら体を触っていたけど足の間とか鼻のあたりとかが最後まで暖かかった。あと心臓のところとか。その体温を貰った。起きそうなのになんで動かないのか本当に違和感がある。ふと見たときに目の錯覚でお腹が鼓動で持ち上がっているようなふうに見える。頭はお腹が上下するものとして認識しているのに実際はそうではないせいで。段々と固まっている。口は何故か少し開いている。向こうに行ったときにバカにされないといいな。

こうやって書いていると少し心が落ち着いてくる。でも本当に苦しいのはこれからかもしれない。喪失感で。でもその喪失感じゃなくて楽しかったことをちゃんと優先させておきたい。そうしないと怒られてしまう。実感というのは今じゃなくてじわじわと来るのだとしたらこれから頑張っていこうと思う。

できる限り後で思い出が変更させられないように書いた。この後のことはまだわからない。最近は涼しいし少しだけなら大丈夫だと思う。その時まで耐えてくれてたのだとしたらとても嬉しい。それくらい考えてそうな賢さとかはあったと勝手に思ってる。なんたって自分が知る限り一番賢くてカッコよくてかわいい犬だったんだから。ここ一週間は今までなかった形でずっと一緒にいれた。今も横とかから書いている姿を見ていてくれないものが。自分の実家的な方でも長いこと飼っている犬が数年前に亡くなっていてそことも面識があったしいまはその子に案内されてると思う。段々とスピリチュアルな感じの文章になってしまった。

書いている途中に触りにいったら冷たかった。冷房もつけて氷もおいているからそうなんだけど。やはり体が呼吸で上下しているように空目する。もう結構固くなっていた。それでも最後はきれいになったので少しは喜んでいてくれるかもしれない。

15時くらいになるともう冷たく固くなってしまった。その横でずっとこれを書いてる。16時前にはもう腕も動かせないくらい固くなった。後の色々のために親が病院に行くらしい。もう少し一緒にいれる。思い出をしっかり持って送り出そうと思う。自分が一番好きな小説にあるように、この悲しさも何か意味があるし、過ごした日々のことを忘れないでおくことが何より大事だろうから。なんかクサイ内容になってしまった。今日くらいは自分を許す。

 

また少し思い出したことを書いておく。なんかお座りが下手で後ろ足が片側によってしまっていた。どうも一般的なシェルティーに比べて足が長いらしくそれで色々と足が弱ってしまってたりしてた。お座りの状態でお手をしてくれるんだけどなんかお手って感じじゃなかった。手をとりあえず上げとくだけみたいな。こちらが出した手に手を置いてくれるんだと思うんだけどそういう感じじゃなくてただ手を持ち上げる感じ。片側に足が寄ってたから片方は上げるとバランスを崩していた。あの適当そうなお手が良かった。

ソファに座ってるときは冬場はいつも同じ毛布を敷いてた。ひよこが描かれたやつ。これがないとなんか乗るのを躊躇ってた気がする。あと他にも白いスカーフを夏場は巻いてた。保冷剤を入れて。割と気に入ってたように見えるし着けた姿は格好良かった。好きな食べ物はレタスとかの葉っぱの他にりんごとか梨とかの果物だった。肉も食べてたような気もするけどなぜかそういう野菜とか果物が好きだった。でもバナナは何故か一回咥えてから吐き出してたけど。カーテンを閉めるときに何が怖いのか吠えて寄ってくるのとかあった。スキを見てササッと終わらせないといけなかった。カーテンレールのガラガラの音が怖いのかもしれない。トイレの片付けをするときも何故か片付け終わった後に吠えて飛びかかってきてた。電話がかかってきたときとかピンポンが鳴ったときとかにも反応して吠えてくる。だから家に自分しかいないときは宅配便をスルーして居留守で宅配ボックスに入れるようにしてた。何人か家にいるときは一人がちょっと押さえつけてた。あのときの条件反射が自分に染み付いていることに気づいた。電話とかチャイムが鳴ったときにふと反応しそうになる。

しばらく時間が経って落ち着いてきて葬儀の予定とかを立て始めた。まだただ眠ってるだけのように見えるけど。火曜日にやることになった。それくらいまでは保つらしい。というか保たせる。好きな食べ物を入れてあげようと思う。

まだ17時だった。今日は一日が長い。ここ数年で一番長いかもしれない。そういうのもそういう感覚になりたいからと思ってるからかも知れないけど。

あれからゆっくりしてるけど何かが起こるとそれに対する反応が頭の中に入ってて少し悲しくなる。でもそういうこともあったなあと思い出す方が大事だと思いたい。上に書いたような電話とかもそうだし、今はパン捏ね器のガッタンっていう音にびっくりして吠えに行っているのを思い出した。こういうのもその場にならないと忘れてしまうのでできるだけ書き留めておきたい。

ハウスの扉のところが閉まっていても足で何回か引っ掻くようにして扉を少し開けて鼻先を入れることで中に入っていくとかいう天才的なことをしてた。ガチャガチャってやって。他にも何年前からか忘れちゃったけど氷を食べるようになって、最初は夏で暑かったからあげたみたいな感じだと思うけど。そのうち冷蔵庫の前で氷を要求するようになって、吠えて頼んできてた。氷を上げると大きいやつを寝っ転がりながらガリガリして小さくして食べやすい大きさにしてた。天才。寝っ転がって横着しながらやってたり。あと口の奥に氷を入れるために上を向いて口を開けたり閉めたりして喉の奥の方へと氷を送っていた。重力の概念を獲得しているということだし実質的にニュートンレベルらしい。氷をそうやって結構食べてたからか齒も歯磨きしてなかったのにきれい。向こうに行ってもちゃんと氷を貰えるようにちゃんと頼めるといいな。

少し最初の方に追記しちゃったけど大変えないようにしたい。変にあとから修正されてしまう方が嫌だから。

ご飯をたべてからパソコンのところに今日初めて来た。ここまではスマホだったけどパソコンで書いてる。横目で見ながら。ご飯は別になんて言うことはなくやすかったらしいラーメンだった。安い割にはちゃんとした麺だった。だんだん身体は固くなっていてもう殆ど動かない。目が少しだけ開いてしまっている。気になるんだろうか。変にやって良くなくなったら嫌だからそのままにしている。綺麗なままあと2日とちょっと乗り切ってほしい。この一週間一緒に頑張って乗り越えてきたしそれくらい出来ると思いたい。もしかしたらここまでに同じようなことを書いているかもしれないことに思い当たった。まあいいや。何度書いても良い。

スマホじゃなくてパソコンで書くと文字数が分かる。6000文字くらいいってるっぽい。だからどうだということもないけどそれだけ記録を取っていることがいつか報われればいいと思う。ほんとに悲しいときにちゃんと思い出して心配掛けすぎないように。ちょっと前の調子を崩してこのせいでなにか良くない方向に行ってしまったらそれこそ怒られてしまうしそんな不安をもたせたまま送り出す訳にはいかない。しっかりと受け入れて更に糧にしていければいいな。

今動かなくなった姿を見るとなんかじんわりとした悲しみが出てくる。他に形容できないような。疑問と悲しみが等量みたいな。本当に悲しくてその原因はもう居なくなってしまったことなんだけど身体はあるのに意識がもうなくて動いていないという状況を頭が理解できなくて疑問を持ってしまうせいでどこからその悲しさが来るのかわからない。そのせいで純粋な悲しさだけでない。こういうのはもしかしたら何らかの防衛機構なのかもしれない。まあこうやって文章にして可能な限り記録しようとしてるけど文字にしてしまう時点でもうそれは純粋なそれじゃなくて全然言いたいこととは違うことになってしまっている実感がある。それを表すには比喩を使うというのをなんかの小説で読んだけどこれに比喩が出るなら教えて欲しい。もうこれ自体が比喩として使われる側で、思い出せる間ではリックが行ってしまったという表現になるしそれ以上の表示ができない。体温を貰ったのに冷房とか保冷剤とかもあるせいで部屋が冷たくてそれが奪われるような気がして、だけど逆にそれへの抵抗を頭の中で想像しているおかげで体温を貰った実感があるみたいな。

水をいつも上げていた洗面所にはまだお椀に入った水が残っている。そういう悲しさがこれから増えてくるかも。水も最初はゲージの中にそれ用の器具を付けて飲んでたけどいつからかお椀で上げるようになった。ぺろぺろ舐める感じで飲んでてそれで飲めるんだと感心してた記憶がある。

明日起きたときとか一番悲しくなりそう。気分転換というかそんな感じで配信を見てるけどもう少ししたらお風呂に入ろうと思う。少し早い気もするけど。ちゃんと泣けて悲しめたからか泣くような悲しさは今のところ出し切れているのかもしれない。わからないけど。明日は諸々の準備のために買い物に出かけることになった。明後日にとても久しぶりに進捗報告会があるけどまあ以前までやってたことが話せるだろうし良しとする。寝る直前にこの日記は更新しようと決めた。すぐに寝れるのかわからないけど。

胃が張る感じの症状がちょっと出てきた。最近この頻度が高くなっている気がする。ストレス性だろうか。トイレに行くと解消されるけど少し吐き気が出ることもたまにある。どうもちょっとお腹を壊してしまったらしい。そのときにいつも日記を更新したときに書いてる一言みたいなところ書くのかと思って考えてた。何個かあってその中の一つにお別れってのがあったけどそんな言葉を今日ここまで考えたこと無くてそのことにびっくりした。お別れというよりも旅立ったって感じ。向こうには待ち構えてる人が居てくれるしこちらからは感謝を伝えて出かけるみたいな。まあそういうお別れてきな実感も後からついてくるのかもしれない。葬儀の後とか。わかんないけど。

固まっている姿を見るとなんか出来の良すぎる人形のように見えてきてしまう。今にも動き出しそうな。そのくせ手足とかお腹辺りが冷たいのはそれはそうなんだけど唇の冷たさとか皮の動かなさとかが人形ではない変なリアリティを与えてくる。人形とかぬいぐるみって温かいということを初めて知ったかもしれない。しっぽはまだ少し柔らかいけど。寝る前に保冷剤を足しておかないといけない。しっかりと葬儀を行い切るまで頑張っていきたい。

お風呂に入ってきた。ツイートしようかとも思ったけどいいねがきても複雑な気持ちだし日記の更新だけ上げて今日はもうそろそろ寝ようと思う。ここにきてこれを公開するかちょっと悩んだけど誰かの目に止まって少しでも記憶の一部になるならそれは結構嬉しいと思ったので公開する。やっぱりちょっとクサい感じになってしまうのはご愛嬌ということで、世界で一番賢くてカッコよくてかわいい犬であってうちの家族であるところのリックに向けて。今までも、これからもありがとう。またね。